田川志織の今日からできる国際協力

途上国を支援したいけど何をしたらいいかわからない。そんな人のために、アフリカ支援に携わる田川志織が社会問題から英語学習まで、国際協力に携わるための情報を分かりやすく解説します。

紛争解決に何が必要?コンゴ民の人道支援家ロジャーさんのお話【現地の声①】

普段話すことのできない途上国に住んでいる方や現地で活動しているの方の声をお届けするインタビューシリーズ!

 

第一弾はコンゴ民主共和国出身で日本のNPOテラルネッサンスの一員として現地で人道支援に携わるロジャーさんです!

 

紛争や貧困などいろいろな問題があるとされているコンゴ民主共和国。その実情はどうなのか?お仕事や日常生活から紛争解決に必要なことまでいろんなお話を聞くことができました。そしてそんな彼のお話からはコンゴ民が抱える複雑な問題、そして希望が見えてきました。最後には読者へのメッセージもあります!ぜひロジャーさんのお話をご一読ください!

 

※本記事に載っている文章や写真は無断転送禁止です。引用等に使いたい場合は事前にご連絡ください。

 

インタビューに答えてくれた人

Roger Kanyinda Tshibangu

通信会社勤務ののち電子部品販売の自営ビジネスを始める。ビジネスが難しくなったころテラルネッサンスに声をかけられ2018年よりテラルネサンスに就職。現在はプロジェクトマネージャーとしてコンゴ民での活動の中心を担う。

今回のスポット

コンゴ民主共和国

面積:日本の約6倍

人口:9,901万人(2022年時点)

民族:200以上

特徴:広大な土地と豊富な天然資源

歴史:1960年独立/ 歴史のほとんどを独裁や紛争などの問題と共に過ごす。

現在:約130の武装勢力が存在しており、500万人の紛争死者、10人に1人の孤児、20人に1人の国内避難民などの問題を抱える。その一方で豊富な天然資源を基に高い経済成長率を誇る。

 

 

自営業をやめ人道支援の道へ

-これまでの経歴を教えてください。

はじめは携帯やネットを扱う通信会社で働いていました。そのあとは電子部品を売るビジネスを自ら始めました。2018にテラルネッサンスに会い今の仕事を始めました。

 

-現在はどのようなお仕事を?

現在はテラルネッサンスの一員としてコンゴ民事業のプロジェクトマネージャーとして働いています。主な仕事はプロジェクトや予算の調整や報告書の作成などですね。また活動を発信するための動画制作も勉強中です!

 

-なぜ自分のビジネスをやめてテラルネッサンスへ?

コンゴ民でビジネスを続けるのはとても難しかったんです。政府からの税金がとても高かったり市場が限られていたりして、自分一人で続けるには問題がたくさんありました。そんな時テラルネッサンスに声をかけてもらいました。

話を聞くと、テラルネッサンスコンゴ民にいる多くの人を助ける仕事をしていることがわかりました。自分もコンゴの問題に直面し困難を感じていたからこそ、同じように問題を抱えている人を助ける仕事をやろうと思ったんです。

 

-現在の活動は具体的にどのようなものですか?

地元の人に職業スキルを教えることが主な仕事です。これまではジュース、服、道路などの作り方をいろいろなところで教えてきました。現在はカロンゲという町で、シングルマザーなど深刻な貧困に直面している人向けに養蜂の仕方を教えています。

 

 

魚をあげるのではなく魚の釣り方を教える

-コンゴ民で活動する中で貧困や紛争などの問題の被害者に直接会ったことはありますか?

何度もあります。特にカナンガで紛争の被害にあった避難民にたくさん会いました。例えば、ある女性は紛争で夫を亡くしカナンガに避難してきていました。私たちテラルネッサンスはそんな彼女に服作りのスキルを教える支援を行いました。

 

-なぜスキルを教えることが大切なのでしょうか?ものをあげるのではだめなのでしょうか?

(うなずく)。こういう話があります。おなかをすかせている人に魚をあげればその時の空腹は満たせてもすぐにまたおなかをすかせてしまう。でも魚を取る方法を教えてあげればその人はずっと自分の力で食料を得ることができるようになる。私たちはこれを実行しているんです。

 

-なるほど。ではそうした活動の効果を実感したエピソードなどありますか?

多くの人がテラルネッサンスの活動によって生活が変わったのを見てきました。例えば、紛争で夫を失った5人の子どもを持つある女性に服作りのスキルを教えたんです。彼女は今では自分の店を持ちそこでほかの人々に服作りを教えるまでになりました。素晴らしいことです!そうして稼いだお金で自分の家も持つことができ、子どもたちも学校に通うことができました。もし支援を受けていなかったら子どもたちは学校に行くことはできなかったでしょう。

 

 

活動で見てきた一番の問題は移動に数か月かかる道路

-コンゴ民は紛争やインフラなど多くの問題を抱えているといわれていますが、活動の中でこれらを実感したことはありますか?

多くの問題を目にします。でも一番に思い浮かぶのは道路ですね。コンゴ民は本当に道が悪いんです。例えば私がいいるブカブという町からカナンガという町までは道が悪いというより道がないんです。

 

-道がないとはどういうことですか?

通れるような道がほとんどないんです。だから、ブカブからカナンガまでは距離は約1,100km(広島-山形)ほどなんですが、カナンガまで行くのに2ヶ月ぐらいかかります。

 

-それは徒歩で?それともバスで?

バスなんて通ってないですよ(笑)。トラックやバイクで2ヶ月です。でも道が悪すぎて今ではそのトラックもほとんど通っていません。

 

-そんなにかかるんですね。

はい。もう少し道が良いカナンガからルブンバシ(約1,200km)はランドクルーザーが通れるので5日ほどで着けます。トヨタランドクルーザーコンゴで一番良い車なんです。日本のおかげですね(笑)。

2ヶ月と比べて5日と聞くといい道と思われるかもしれませんが、その道もまだまだ悪いんです。5日はかかるんですから(笑)。良いといってもベターという感じです。

 

 

日常生活で感じる問題は週に数回しか出ない水

-仕事ではなく日常生活の中で何かコンゴ民の問題を感じたことはありますか?

うーん。水ですかね。私が今住んでいるブカブでは時々しか水が出ないんです。なので水が出る日にためておいたり買い置きしておいてしのいでいます。

 

-時々というとどのくらいの頻度でしょうか?

1週間に4回ほどです。それも1日中水が出るわけではなく大抵は夕方や夜に出ます。なので水がなかなか出ない日は夜になっても寝れないんです(笑)。

 

-コンゴ民全土がそうなのでしょうか?

場所によります。1週間に1回か2回しか出ないところもあります。

 

-食事はどうでしょうか?

うーん、食べ物は特に問題ないと思います。でもお金がかかるという問題はありますね。食事などいろいろなことにお金がかかります。コロナやロシアウクライナの問題によって物価が上がったと思います。例えばパン作りに必要な小麦粉は1.5倍ほど値段が上がっています。

 

 

コンゴ民の問題解決に必要なのは「政治家」「関係」「教育」「道路」の改革

-コンゴ民の問題を改善するために必要だと思うことを3つ教えてください。

そうですね、まずは政治家たちの意識を変えることです。彼らは自分たちばかりで市民の生活を気に掛けてくれていません。貧困が蔓延しているので、お金が入るようになったら自分や自分の家族ばかりにそれを使おうとするんです。

2つ目は周辺国との関係を改善することが必要だと思います。現在ルワンダコンゴ民の鉱物を求めて進行してきています。このためにコンゴ民の人々は鉱物採集の利益をほとんど受けていません。

3つ目はみんなが基礎教育を受けられるようにすることです。コンゴ民のほとんどの子どもが基礎教育を受けられていません。以前日本の本当に小さい子どもがほかの子を尊重している様子を動画で観ました。コンゴ民の子どもでは無理だと思います。道徳を学ぶ教育がもっと必要なんです。これが充実すれば1つ目の政治家の意識改善にもつながるでしょう。

 

-なるほど。課題はあるけど解決策がゼロというわけではないんですね。

あ、あともう1つ。コンゴ民は国土が大きいことも問題の1つなんです。なので道路の整備を進めることが大切だと思います。政治家の意識改善ができればこれも達成できるでしょう。

 

 

避難民はいつか地元に戻れる日をずっと待っている

-ルワンダとの関係が不安定とのことですが、人々はどうしているのでしょうか?

ルワンダの攻撃があり危険な地域がありますが、危険でもその土地を離れない人がたくさんいます。危険でももともと住んでいた場所を離れたくないんです。

 

-それは何故ですか?

思い出があるからです。昔からずっと住んでいて思い出のあるその土地を離れたくないんです。そのために危険でも避難せず、そのままそこで攻撃され亡くなる人もいます。

 

-現在は避難している期間が数十年にのぼる例もあります。避難がそれだけ長くなってもやはり地元に戻りたいと思うのでしょうか?

もちろんです。それは絶対そうだと思います。彼らはずっと、いつか地元に戻ることを願っています。

 

 

ありがとう。そしていつかコンゴ民に来てください。

-この記事を読んでいるのは日本人が多いと思います。彼らに伝えたいことはありますか?

まず、感謝を伝えたいです。テラルネッサンスを通してコンゴ民をサポートしてくれているすべての日本人の方に感謝しています。テラルネッサンスは本当に良い支援をしてくれています。どうか支援をやめず続けてくれればと思います。

また日本とコンゴ民は良好な関係にあります。日本政府がコンゴ民政府に働きかけることによってコンゴ民政府を動かすことができるでしょう。

あとはどうか道路を作ってほしいです。キンサシャ(首都)には一番良いといわれている道路がありますが、その道路は日本の支援によってつくられたものです。

 

-それは首都で?それともコンゴ民でということですか?

首都で一番です。でもコンゴ民で最も栄えている首都で一番ということはコンゴ民で一番ということです(笑)。日本の作る道路は素晴らしいです。

 

-最後にこれを読んでいる人にメッセージがあればお願いします。

紛争や色々な問題はありますが、コンゴ民は広大で食べ物もおいしくとても良い国です。人は優しくみんな困難の中でも楽しんで毎日を生きています。私たちはそこで生きていくことができています。だからどうか怖がらずいつかコンゴ民に来てください。(笑顔)

 

 

最後に

ロジャーさんのインタビューいかがでしたか?

 

この記事を通してコンゴ民を知ってくれたら、コンゴ民に少しでも興味を持ってくれたら、コンゴ民のために何かしたいと思ってくれたら、大変嬉しいです!

 

このインタビューの感想や質問がある方、ぜひコメント欄にお書きください!ロジャーさんに直接お伝えします!

 

ロジャーさんが働いている日本のNPOテラルネッサンスのHPは下記になります。より詳しい活動内容や報告書を読みたい、コンゴ民のために寄付したいという方はぜひHPを訪れてみてください!

www.terra-r.jp

 

また、「この国のこんな問題について知りたい」「こんな人のインタビューが読みたい」など、ご意見等ございましたらそちらもぜひコメント欄までお寄せください!

 

最後までお読みいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!

 

 

 

途上国支援、国際協力に携わりたいけどわからないことが多い。何から始めたらいいかわからない。そんな方のためにこんな記事も書いています。

shiori-tagawa.hatenablog.com

 

shiori-tagawa.hatenablog.com

 

shiori-tagawa.hatenablog.com

 

shiori-tagawa.hatenablog.com